2018年9月11日火曜日

スルガ銀行 不正融資

2018年9月7日金曜日、スルガ銀行の不正融資問題をニュースでご覧になった方も多いはずです。不正融資問題に揺れるスルガ銀行の第三者委員会(委員長:中村直人弁護士)は調査報告書を公表。審査書類の改ざんや偽装に多くの行員が関与していたことを認定した上で、岡野光喜代表取締役会長(7日付で辞任)ら一部役員の善管注意義務違反を認定したとする内容が報道された。シェアハウスをめぐるスルガ銀行の不正融資問題は経営陣の総退陣に発展して結局今回は、新社長に就任したばかりの有国三知男(ありくに・みちお)氏(52)らが記者会見に応じた。
報道によると、第三者委員会の調査結果は同行の企業体制を指摘し「無責任営業推進態勢」と断罪した。第三者委員会の調査結果を受けて、有国三知男(ありくに・みちお)新社長らは「真摯(しんし)に反省し、企業風土を変えなければならない」と信用回復への決意を述べたにとどまるだけのもので終わったという他はない。
 また社長就任の挨拶としての記者会見では「一連の問題が起きて以降、どうしてこうなったのか大いに反省している。役職員一同で新しいスルガ銀行をつくらなければならないという使命感を持って、社長を引き受けた」というのであるが、どうしてこうなったのか整理がつかないようであれば今後の展望はなく、単なる役員の穴埋めとしかいいようがない。
 巨額の不正融資が組織的だと認定され、新社長は「なぜこういうことが起きてしまったのか、重く受け止めなければいけない。一つは組織風土・企業文化が大きな要素だ。パワハラの話もある。不健全な企業文化の中で営業活動をするとこうなってしまう。職場環境を正常化させることから始めたい。企業文化としてはトップダウンが多かったので、決別しなければならない」などと、この期に及んで原因を暗にスルガ銀行の体質にあるとでもいうのか一番その原因を熟知している新社長の答弁だけに原因をすり替えるような発言であると思えた。一応は重く受け止めているとのことであるが、単に経営陣総退陣という事態を重く受け止めているだけのことではないかと感じた人は少なくないであろう。なぜならこれだけの重大な事件を引き起こしたのに、余裕すら感じられるのは、第三者委員会が「報告に上げない何か」が表に出ないからではないか。
 そもそも第三者委員会の報告書では、シェアハウスを含む個人の不動産関連投資等に特化した「パーソナル・バンク」への業績依存により、審査が機能しなかったとする調査結果であるが、こういったことは想定外であるはずがない。むしろ起こりうることとして監査機能を一番働かせなければならないところである。
 特にシェアハウス向け融資では、スルガの一部行員と不動産業者の担当者に癒着があったのも事実であれば、癒着に関与して行員と不動産業者の担当者の名前を公表すべきである。
 さらに当該不動産業者を取引停止にしても、その不動産業者の担当者が別法人を設立して、ほかの不動産業者へ転籍し、「姿形を変えてスルガ銀行の前に現れてくる、いたちごっこの様相を呈してしまった」と結論付けたのでは意味がない。

こうした状況は、「過大な業績目標の設定と達成のための過度なプレッシャー」が背景にあるとした点にこそ問題があるのであり、重要なことは、スルガ銀行の体質ではなく、意図して銀行と表に出てこない不動産会社のオナーの癒着を暴くところに焦点を向けるべきである。
スルガ銀行の営業目標は、現場の意見を聴取しないトップダウン方式で作成され、現場の実態が勘案されない営業ノルマになっていたというが、このような営業目標は巷にあることで、むしろスルガ銀行と表に出てこない不動産業者の代表者との取引が、スルガ銀行の体質にすり替えられているのではないのかが問題である。

2018年8月24日金曜日

サブリース契約 期間の定めのない借家契約

サブリース契約の落とし穴

今日は、サブリース契約に「賃貸契約に期間の定め」がない場合とある場合のない場合について「解約」だ可能かどうかについて考えましょう。

サブリース契約は、マンションオーナーとサブリース会社との間で建物賃貸借契約が成立していることで、借地借家法が適用されます。すると、サブリース会社は借地借家法により借主という立場で法律に守られることになります。

普通、アパートなどの場合、期間を定めて契約されますが、ときには当事者の都合などで、期間を定めないで契約される場合も多々あります。

期間の定めのない借家契約の場合はどうなるのでしょうか?

結論
借家人はいつでも解約の申し入れをすることができます(民法617条1項。これに反し、家主からの解約申し入れは、借地借家法27、28条の制約があります)。そして、借家人よりこの申し入れがあると、借家契約は3 ヶ月後に終了します(同条1項2号)。
サブリース契約において、オーナーにとっての入居者はサブリース会社ということになり、サブリース会社から中途解約を申し出る分には、入居者の権利として解約が認められ、オーナーからの解約申し入れは正当事由が認められなければ解約することができません。また、必ずと言っていいほど違約金設定が設けられています。(賃料の数か月分)サブリース契約を締結する際には、必ず契約書の条文をよく確認してください。

第617(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
1.当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れ
をすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入
れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一  土地の賃貸借 一年
二  建物の賃貸借 三箇月
三  動産及び貸席の賃貸借 一日


借地借家法27条
第27条(解約による建物賃貸借の終了)
1.建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。
2.前条第2項及び第3項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。

借地借家法28条
第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
1.建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

2018年8月11日土曜日

特定商取引法  クーリング・オフ
 
 
最近目立つのは不動産業者によるサブリース契約にともなうアパート建築請負契約の勧誘です。
不動産サブリースに関するアパート建築請負契約は、不動産業者などが訪問して勧誘がなされるなど、訪問による勧誘や契約がなされることがあります。いわゆる訪問販売です。訪問販売は、事業者が消費者の自宅に訪問して、商品や権利の販売又は役務の提供を行う契約をする取引の事です。 キャッチセールス、アポイントメントセールスを含みます。
サブリース契約にともなうアパート建築請負契約の勧誘も、特定商取引法が適用されないか検討する価値があります。
 
特定商取引法は、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。 具体的には、訪問販売や通信販売、電話勧誘販売、業務提供誘引販売(「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引のこと)等の消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に、事業者が守るべきルールと、クーリング・オフ等の消費者を守るルール等を定めています。訪問販売や電話勧誘販売など、問題の起こりやすい商法を規制する法律ですが、無条件で契約を解除できる「クーリング・オフ」を定めている法律でもあります。
住宅建設会社様の展示場や店舗で請負契約を締結する場合は、 訪問販売には該当しないためクーリング・オフの適用除外になります。訪問販売といっても、ホテルの一室であったり、レストランや取引銀網などは全て取引販売の対象になります。不動産業者の事務所と認められず、類似とも認められません。
 
特定商取引法の改正がなされ、建築請負契約も同法の対象です。同法は、「営業のためにもしくは営業として」契約する場合には適用されない、という規定もおいていますが、何もよく分からないままに、図面などを見せられて一棟目のアパートの建築契約を締結させられたなどの場合には、クーリング・オフできる可能性は十分あります。
 
また、同法は、虚偽の説明または、不当な勧誘をした業者を取り締まる規定も置いています。納得しないままの契約、または勧誘があったと思われたら、まずはクーリング・オフの申し入れをすることです。押し切られるようであれば迷わず不動産専門の弁護士か消費者庁に相談することです。

2018年7月30日月曜日

サブリース契約の賃料保証額とは
サブリース契約時の賃料保証額、つまりサブリース会社がオーナー様に毎月の支払いを約束する金額はどうやって決まるのか。

当然のこと、オナー様にとっては、サブリース会社が一括借り上げるわけですから煩わしいて管理の手間もないなどと考え、その保証額はサブリース会社が査定した賃料相場(査定賃料)の85%~95%程度を家賃保証額と提示されたときでも「多少、相場より安くても毎月保証されるから安心だ」などと合意します。
しかし査定賃料とはどういう基準で決まるのでしょうか。

 この家賃保証金額の前提となる査定家賃は、周辺の成約相場からみてサブリース会社が「確実に入居させられる。」と判断した水準です。すると当然に通常相場以下で設定される場合が一般的であります。
すると、オーナー様にとって、収入(賃料)を抑えられてしまうという意味では、査定家賃の算出が正しいのかどうかを確かめる必要があります。また礼金などの収入や敷金などの運用益が見込めなくなるという点も考慮すべきです。
不動産をご所有される投資家・オーナー様におかれましては、サブリース会社から提示される査定家賃が、周辺の賃料相場からして適正な価格なのかどうかについて、その算出根拠について正しいといえるかどうかを注意深くご確認されることが、まずはサブリース契約の第一歩の注意点です。修繕費は年数が経つほどかかってきます。賃料は建てたときのスタート時点で、周辺のアパートには空き室がないのか、相場賃料はいくらなのかを自分の目で確かめてることが大事です

2018年7月27日金曜日

サブリース会社からサブリース契約中途解除の申し入れを受けた場合のリスクを考える
    普通建物賃貸借契約の場合、「30年間保証」または「最長で35年間保証」などとうたってあってとしても、民法上、無効であるため、減額請求同様に入居者(サブリース会社)の中途解約は法律で認められた入居者の権利になります。

    つまりサブリース会社から、中途解約されるリスクを抑えるためには、契約書を契約期間中は中途解約できない旨の条文を盛り込んだ「定期借家契約」とする必要があります。なおその場合は、賃料の見直しが行えない旨を記載した条文も挿入するといいでしょう。しかし、この条文を盛り込んだとしても、サブリース会社が倒産したり、行方不明になる場合もあります。リスクがなくなるわけではありません。

2018年7月24日火曜日

 

サブリース契約の減額請求リスク

 
大手不動産会社とのサブリース契約であっても、回避できないリスクの代表例が、サブリース代金の減額請求です。
最高裁では「たとえサブリース契約であっても、それが普通建物賃貸借契約である限りは、借地借家法321項の賃料減額請求(強行規定)が可能だ」と判示しています。つまり、家賃保証金額が経済変動などによって不相当な水準になった場合に、契約条件にかかわらず賃貸人と賃借人の双方で家賃保証金額の増減を請求する権利を認めているということです。
約条件に拘わらず貸主と借主の双方に家賃保証金額の増減を請求できる権利を認めています。私法上にどのような記載がなされていてもその条文が民法上無効であれば、その条文は当然に無効となります。
 
サブリースの大手不動産会社が作成したパンフレットや提案書などに「賃料は10年間見直しなしの据え置き」などと記載されているのがあります。しかし相手が大手の不動産会社だからといって記載内容をうのみにしてしまって契約したために、後になって賃料減額になり訴訟になっているケースもあります。
なお賃料減額も中途解約もできない条文の定期借家契約を作成し、契約の締結を行えば契約期間中の減額請求リスクについては低減する事が可能です。

2018年7月12日木曜日

任意売却 サブリース被害から追い込まれたアパートの売却

任意売却

サブリース会社からの一括借り上げで安心していた賃料保証が崩れると、次に浮上する問題が融資を受けて建てたアパートの返済です。あてにしていた賃料がサブリース会社からの減額請求により一方的に下げられた場合、賃料より融資先への返済金が多いと、オーナーは否が応でもアパートを手放さなければならない状態に追い込まれます。
それでもアパートが高値で売却できればいいのですが、抵当権がついていると誰も買ってくれません。
この「抵当権」対策の売却方法が任意売却なのです。

任意売却とは、自宅を売っても住宅ローンの残額を返済することもできないという状況のように、住宅ローンを滞納した場合の解決方法です。
任意売却により、借入先の金融機関と話し合いのうえ、できる限り高く自宅を売却することが可能になります。
 
 任意売却は、通常の不動産売却と違い、債権者(お借入れの金融機関)や役所の同意を必要とします。
当然のことながら、借金が残っていて自分のもののようですが返済ができないため融資を受けた金融業者と相談しする必要があります。また滞納している税金について話し合いをして、登記簿謄本の「抵当権」や「差押」を抹消してもらう必要があるからです。
 このような場合、任意売却について相談してくれる専門家弁護士がいると安心ですね。そうすることで、債権者や役所に対して話し合いを行い、引越し費用の配分や差し押さえの解除について調整することが可能になります。
 
金融機関は抵当権を設定した不動産から少しでもお金を回収しようとします。この抵当権とは、その不動産を競売で売却し、売却代金から住宅ローンを回収する権利のことです
  マイホームを購入するときに多くの人が利用する住宅ローン。この住宅ローンは、低金利で長期間の設定であるものの、金額は大いので、貸す側としては、環境の変化等により、万が一返済してもらえないような事態に備え、不動産を競売で売却し、売却代金から住宅ローンを回収する権利を、不動産に設定します。
 
 
1 家の売却にはなぜ抵当権が邪魔になるのか
通常、不動産を売却する場合には、抵当権をはずす必要があります
抵当権が残っていると、前の所有者の住宅ローンが残っており、「住宅ローンが返済されなければ、競売にしますよ」という金融機関の権利も残っていることを意味するため、抵当権がついたままの不動産を購入する人がいないからです。(購入できない訳ではありません。)
 つまり、抵当権が残っている(前の所有者の住宅ローンが残っている)不動産を購入した場合、前の所有者が住宅ローンを滞納したら、新しい所有者は自分の意志に関係なく競売になってしまい家を失う羽目になるのです。そのような大きなリスクを背負って不動産を購入する人はいないため、売却するときには抵当権をはずす(抹消する)必要があるのです。
 
2 抵当権をはずすにはどうするか
抵当権をはずすためには、住宅ローンをすべて返済しなければなりません。たとえ家が売れたとしても借金が残ると抵当権はついたまま。これでは売れませんよね。
 そこで、任意売却は、住宅ローンをすべて返済できなくとも抵当権をはずしてもらえる方法として登場します。
 住宅ローンの残額と売却代金の差額を現金で準備し、住宅ローンをすべて返済することで抵当権をはずせますが現実的ではありません。住宅ローンの月々の返済が困難な状況で家の売却を希望しているのに、別途のお金の工面は不可能に近いものがあります。
 そこで、金融機関は、住宅ローンの返済が困難な方を対象に、住宅ローンが残っていても家を売却する「任意売却」を認めているのです。これなら家は売却できますよね。
 金融機関側としても、住宅ローンの滞納が続いて返済の見込みがなくなると、競売か任意売却で住宅ローンを回収するしかありません。金融機関にとっても売主にとっても、少しでも多くの回収を望むのであれば任意売却は、競売と比較すると回収額が多くなるので双方にメリットがあるわけです。
 
 
 

スルガ銀行 不正融資 2018年9月7日金曜日、スルガ銀行の不正融資問題をニュースでご覧になった方も多いはずです。不正融資問題に揺れるスルガ銀行の第三者委員会(委員長:中村直人弁護士)は調査報告書を公表。審査書類の改ざんや偽装に多くの行員が関与していたことを認定した上で、岡...